季節は瞬く間に移り変わり、
早いもので水無月も残りわずかとなりました。
梅雨の時期は紫陽花が目を楽しませてくれますね。
琵琶といえば「平家物語」。
主に鎌倉時代に琵琶法師が語ったことで有名ですね。
ですが「源氏物語」にも琵琶が登場していたことはご存知ですか?
ご存じでしたか?
琵琶はピアノやギターのようなメロディ楽器ではないのです。
主旋律は奏でません。
つまり琵琶は脇役。
主役は「語り」なのです。
余韻を味わい、余韻を楽しむ…
まさに日本人の心。コロナ禍で忘れかけていた大切なものだと思います。
今回は撥についてのお話です。
私の弾く五弦五柱の琵琶は桑から作られるのですが、撥の素材はさまざまです。主なものは桜や椿や黒檀、欅(けやき)、そして柘植(つげ)でしょうか…
「桑」です! 私の弾く五弦五柱の琵琶は桑から出来ています。 桑の木ってご覧になったことはありますか? 私が生まれ育った山梨県は養蚕が盛んでしたので、桑の木はたくさんありました。 小学生の下校時にはいつも桑の実をおやつ代わりにしていたものです。 紫色に指を染めながらつまんだ桑の実…懐かしい(笑)...
私が琵琶を初めて目にしたのは小学生の時、テレビの中でした。 「宮本武蔵」という時代劇にて。 京都の遊女、吉野大夫(よしのたゆう)が武蔵に弾いていたのです。 「祇園精舎の鐘の声…」と吉野大夫が語りながら弾いていた琵琶。 しびれました。 そして場面は変わり、武蔵と吉岡伝七郎との三十三間堂にての決闘。 張り詰めた場面に流れつづける琵琶の音色。...