最近、琵琶を聞いた方が「ロックですね」とか「ヘビメタのようですね」とおっしゃいます。
YouTubeのコメントで一番多いのが「鳴女(なきめ)ですか?」(注「鬼滅の刃」出てくる鬼の琵琶弾きです)
次に多いのが「ロックですね。」
確かに、琵琶法師のイメージでお聞きくださる方は、驚かれるかもしれませんね。
この激しい奏法は「崩れ」といいまして、主に語りと語りの合間に演奏します。
ですが、これはあくまでも語りを引き立たせるため。
戦いの名面の荒々しさを、この激しい奏法で表現しているのです。
わー!琵琶ってかっこいい!
こんな風に弾けたら気持ちいいだろうな!
そう思いませんでしたか?
私は思いました(笑)
初めて琵琶を聞いたときに。
格好良かったですね。
空気を切り裂くような撥さばき、そして力強く歯切れの良い激しいリズム。
体中の血が沸き立つ感じでした。
実は私、フラメンコが大好きでして。
以前は寝ても覚めてもフラメンコ。
頭の中には常にフラメンコのリズムが流れ、気が付くとステップを踏み、鏡の前に立つとポーズを取り(笑)
とにかく踊るのが楽しくて楽しくて♪
そんな日々を過ごしておりました。
琵琶に出会う前までは。。
弦楽器といえば、お箏かフラメンコギターしか興味が無かったものですから、琵琶の音色を初めて聞いたときは「晴天の霹靂」ともいうほどの衝撃を受けたのです。
えっ?和楽器だよね?
なのになぜこんなに激しいの?
あの大きな撥は何?
軽々振り回しているけど?
音も大きいしダイナミックな曲調だし。
なんか踊れるかも?
かっこいい。。。。
虜になりました(笑)
あのパキパキしたリズムがフラメンコのステップに似ていて、鳥肌が立ちましたね。
大きな撥がアバニコ(フラメンコで使う扇)のように見えましたし。
余談ですが、お稽古したての時に撥をアバニコのように振り回して、「無駄な動き!」と師匠に注意されましたっけ(笑)
話が脱線してしましたが、
何が言いたかったというと、
私も最初は「琵琶はロックのような激しい演奏をする楽器」と思い込んでおりました。
ですが、琵琶の主役はやはり「語り」。
だからこそかもしれませんが、難しいのです。「語り」は。
習い始めて早い段階で気づきました。
「語り」の難しさに。
まず「声」です。
私の声は薄っぺらで厚みが無くて…
師匠や先輩方のような厚みのある声がどうやったら出せるのか。
そればかり考えていました。
考えていたって上手になるわけではありませんのにね。
納得のいく声を育てるのには時間が必要!ということは重々承知しております。
ですが、やはり歯痒かったです。
早く時間が経てばよいのに…
早く上手になりたいのに…
と、焦る気持ちがカラカラと空回っておりました(笑)
残念ながら、生まれ持った声質は変えられません。
この薄っぺらな声で表現するしかないのです。
ですので、発声の仕方はもちろんですが、
言葉の間の取り方、抑揚の漬け方、速度変化に強弱、発音の仕方と、
さまざまな試行錯誤をして、少しでも物語の情景が伝わるように、聞き手に分かりやすいように、
と練習しております。
一つだけ分かったこと。
それは、上達するにはコツも近道も無いんだなぁ~と。
「日々のお稽古を精一杯頑張る」
それのみ!
千里の道も一歩から!
今日も自分の声と向き合っております。
だって琵琶は「語り」が命ですから。