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演奏家として思うこと

昨年の7月、コンサートにて初めて耳にしたフジコ・ヘミングさんの生演奏。

ピアノの音が繊細でとても優しくて、

まるで心を撫でられているような感覚。

ですが時には力強いタッチで情熱的に演奏し、その激しさには息を呑むほど。

 

まさに彼女の人生そのもの、だと思いました。

 

 

今年の秋にフジコさんが日本でコンサートを行うことを知り、迷わずチケットを購入しました。

名古屋と東京の公演です。

非常に心待ちにしていたのですが、

コンサート直前に延期と中止のお知らせ。

フジコさんが手を負傷し、ドクターストップがかかったのです。

 

胸が痛かったですね。

コンサートに行けない残念さよりも、彼女の心痛を思うと。

 

どれだけフジコさんが日々、身体のメンテナンスに心を注いでいるかは、分かりすぎるほど分かります。

それでも避けられないトラブル。

そして演奏出来ない、コンサートをキャンセルせざるを得ない、

そのことに対する辛さ。

 

彼女の落ち込む様子が目に見えるようでした。

 

 

私は、まだまだ演奏家として歩み始めたばかりですので偉そうなことは言えませんが、

やはり楽器を奏でる上で、身体のコンディションを整えることは、何よりも大切だと痛感する日々です。

 

正直、これほど自分の身体と向き合ったのは初めてかもしれません。

 

 

実は、今だから言いますが…

琵琶によって手を痛めてしまったのです。

 

私の弾く五弦五柱琵琶は、撥が大きいのが特徴。

大きいだけではなく、重さもそれなりにあります。

そのため、やはり手への負担は避けられません。

 

演奏会前に弾き込んで、痛めてしまいました・・・

 

喉も同じです。

歌い込んで、ヒリヒリでした。。

 

不安でたまらなくなり、 

整体の先生、鍼の先生に泣きつきました。

「先生、なんとか直してください!」って。

 

先生方は私の気持ちに寄り添ってくださって、そして丁寧に治療してくださって、本当に有難かったです。

 

 

手を痛めるほど練習してしまったのは、少しでも質の高い演奏を皆さまにお届けしたい、、、との

ヒリヒリするほど歌い込んだのも、物語の世界をより分かりやすく伝えたい、、、との思いからです。

 

ですが、それはプロの演奏家としては失格。

身体のメンテナンスが7割、と私の師匠もよく口にしておりました。

 

それなのに、それなのに、、、涙

 

反省することしきりでした。

 

 

ですが、言い訳させていただきますと(笑)

私は琵琶に向き合っている時間がたまらなく好きなのです。

時間の許す限り、ずっと弾いています。そして歌っています。

 

好きなことに向かい合っていると、時間がいくらあっても足りませんね。

 

ですが、練習よりも身体のメンテナンスが大事!

それを肝に銘じて、日々頑張って行こうと思います。

 

 

 

先日、延期が決定したフジコさんのピアノコンサートが5月に行われるという連絡が入りました。

なんて嬉しいこと!

でも一番嬉しいのはきっとフジコさんなのでしょう、ね。

 

応援しています!!

心から。