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琵琶と共に

琵琶に出会ったのは今から13年前。

 

まず惹かれたのはその音色でした。

心を震わせるほどの深い余韻。かつてないほどの衝撃でした。

 

そして坂田美子先生という素晴らしい師匠に出会い、琵琶の音色と共に語りの奥深さを知りました。

 

師匠のような音色を、そして語りを…とひたすらお稽古に励む日々。

褒められれば嬉しく、課題を頂戴したときは燃えるような心で挑み()

一つ一つの曲を突き詰め、丁寧に仕上げていくことを何よりの喜びとしておりました。

 

そして忘れもしません。2020年の秋のこと。

師匠とのオンラインレッスンの時でした。

「そろそろ琵琶を周りに伝えて行かないと。」

と、師匠から人前での演奏を進められたのです。

 

「えっ、人前で演奏するなんて!とんでもないです!」と即答()

 

その時の私には全く自信が無く…。

演奏家なんて夢のまた夢でした。

 

ですが、師匠から頂いた言葉から憧れが生まれたのです。

 

人前で琵琶を弾き、琵琶奏者として演奏活動をしている姿。

 そして琵琶を教えている自分の姿。

 

 最初は単なる憧れのイメージ像でしたが、次第に「そうなりたい。」と思うようになりました。

 

そして目標も生まれました。

「自分が楽しむためだけではなく、聞く人の心に響く演奏がしたい!

琵琶をもっと広めて行きたい!」と。

 

また琵琶についても学び直しました。

琵琶は知れば知るほど歴史が深く、魅力的な和楽器。

 

実際、琵琶が大変人気だった時代もあったのですよ!

 

ですが現在は奏者が非常に少なく、

かつては数多く存在した琵琶屋さんは、現在は日本にただ一件のみ。

絶滅が危ぶまれている和楽器です。

 

その現状から、なんとか次の世代にこの楽器を残せないものか…

と本気で考えるようになりました。

 

それには、一人でも多くの方にこの伝統ある和楽器の存在を知っていただくこと。

 そして生の音色を聞いていただくこと。

 

その強い思い。

 

そして背中を押してくださり、

導いてくださった方々との出会いによって、

演奏活動を始めることが出来ました。

 

そして、なんと、

「琵琶を弾きたいです。」と入門してくださる方も!

本当に嬉しかったですね。

そして、お弟子さんに琵琶を教えることで、琵琶の魅力を再確認することも出来ました。

 

 

2023年は、

かつて憧れた自分への第一歩を踏み出せた年

となったのです。

 

 

私一人の力ではきっと叶えられなかったでしょう。

人との出会い、ご縁の有難さを深く感じております。

 

演奏のご依頼を下さったり

演奏活動を後押ししてくださいまして

本当にありがとうございました。

お陰様で、琵琶を多くの方に知っていただくことが出来ました。

 

皆さまの温かいお気持ち、

励ましのお言葉、

心から感謝いたします。

 

来年も、琵琶の音色を一人でも多くの方にお届けできますよう、

そして皆さまの心に響く演奏が出来ますよう、

日々精進して参りたいと思います。

 

 

辰年は十二支の中で最も縁起の良い干支とのこと。

 

皆さまにとりましても2024年が幸多き一年となりますように!

心からお祈り致しております。

 

 

琵琶奏者 野島洋美