”おはなしの扉”とは、年に1回ほど開催されております。
主催の植原悦子さまは、ストーリーテリングを長年なさっておられるとのこと。
ストーリテリング、皆さまご存知ですか?
語り手が、物語を覚え自分のことばで語るという手法です。
ですが、ただ”物語を丸暗記して語る”ということではありません。
お話をしっかり理解し、自分の言葉に置き換える。
情景を浮かべながら自然体で、身振り手振りは加えず、聞き手と目線を交わしながら…。
すると、語り手と聞き手の間で親密で温かな時間が生まれるのです。
植原さまのお声はとても自然で優しく柔らかく、そして物語がまるで美しい旋律のように”するり”と心に入ってきたのには驚きました。
今回お話くださったのは「くもの糸」(芥川龍之介作)と「かえるの王さま」(グリムの昔話)。
植原さまのお人柄そのままのあたたかな肉声、そして心地よいお話のリズム、やわらかなランプの灯り。
すべてが美しかったです!!
植原さまのストーリーテリングの後は琵琶演奏です。
今回はこの季節ならではの「耳なし芳一」。
そして「鶴」、「吉野山」を演奏させていただきました。
普段とは異なる夜の演奏。
室内も照明を落とし、雰囲気たっぷりです。
冷房の効いた涼しい室内でしたが、皆さまの熱気をひしひし感じ、私も語りの世界にどっぷりと浸って演奏することができました。
今まで普段のお稽古では、薄暗い中で琵琶を奏でたことはありません。
ですので今回は非常に新鮮でした。
そして物語を語る上で”灯り”の重要さを初めて知ることが出来ました。
琵琶にはしっとりとした空気感が合っていると感じていますが、薄暗さも大事な要素!
改めて勉強になりました。
演奏後には、お客さまから「琵琶の音色と語りが一体になっていた」との嬉しいお言葉を頂戴いたしました。
ですが、それは聞き手である皆さまの熱量が高かったからだと思います。
私は、”曲の最後の仕上げは会場にて”、だと常々思っております。
当日のお客さまのお気持ちが加わり、その時初めて曲が完成するのだと。
もちろん曲の仕上がりは毎回異なります。
その時のお客さまが毎回異なるからです。そして会場も季節も異なります。
まさに、一期一会。
生演奏ならではの醍醐味ですね。
あっ、そうそう、「”吉野山”もYouTubeより素敵でした!」とのお声も頂戴しました。
YouTubeは気軽に聞くことが出来ますが、どうしても音声が平面的になってしまいます。
ですので素敵な映像が添えられ、音色を立体的にお伝えする手助けをしてくれているのです。
ですが、やはり血の通う人間の生の肉声の響きにはかなわないと思います。
かすれ声もまた味になるというか(笑)
そうお感じになってくださったことが嬉しかったです。
そして演奏後のお楽しみは、待ってましたの琵琶体験。
実は私はこの時間がとても楽しみなのです。
皆さまからは「わぁ、凄い響き!」、「こんなに大きな音なのですね!」、「意外と軽い!」、「いや、重いです!」、「撥って大きい!」、「絃って繊細なのですね!」などなど。
楽しいです。
皆さまの反応が。
ニマニマしてしまいます。
皆さまの率直な感想が私を初心に戻してくれるのです。
わくわくしますね!
初心って大事ですね!!
琵琶体験のひとときは実は誰よりも私自身が楽しいのかも(笑)
今回もたくさん触っていただきましてありがとうございました。
あたたかく、優しく、美しく、心に残るひととき。
植原さま、そしてご来場の皆さまのお心そのものだと思いました。
このような素敵な思い出ひとつひとつが、これからの私の原動力です。
このような素晴らしい経験をさせていただき、心から感謝申し上げます。
またお会い出来ます日を楽しみにしております。
皆さま、どうもありがとうございました。


