春の雨はまるで霧雨のように細く、そして静か。
薄いピンク色の桜の花びらに滴り落ちる様子も風情がありますね。
そんな優しい春の雨音に似あう楽器、
それは楽琵琶ではないでしょうか?
琵琶奏者にとりましてやはり楽琵琶は憧れの存在。
その楽琵琶に触れる貴重な機会を頂戴いたしました。
今年の1月21日(水)、岐阜県各務原市にある「手力雄神社」にて、琵琶演奏をさせていただきました。
「川島ライフデザインセンター後期講座」の講師としての演奏でした。
この講座は、“日本最古の音楽「雅楽」を神職の解説と実演で学ぶ”という内容です。
1月21日の回は、全5回のうちの第4回にあたり、
雅楽の楽器(打楽器・弦楽器)の説明に加え、楽琵琶と薩摩琵琶の聴き比べ、さらに受講生の皆さまによる演奏体験と、大変盛りだくさんの回となりました。
中でも目玉は、やはり琵琶の聴き比べです。
楽琵琶は、雅楽演奏家の松久貴郎さんが秘曲「流泉」を演奏してくださいました。
素晴らしかったです!
言葉でその音色や旋律を表現するのは非常に難しいのですが、例えるとするならば…
『目を閉じて聴いていると、まるでシルクロードをラクダの背に乗って旅しているかのような感覚に包まれる。ゆったりとした乾いた風、広い大地。まさに大陸的で、悠久の時の流れを感じさせてくれる』
とでも言いましょうか。
日本に伝わってから約1300年。まさにその歴史の深さを感じさせてくれる音色。そして想像力を掻き立てられ、まるで物語のような豊かな情景を心に描かせてくれる、そんな旋律でした。
私は神社での演奏ということもあり、「ヤマタノヲロチ」を演奏させていただきました。
どのようなお話かといいますと、
”スサノオノミコトが出雲の地で、毎年娘を食べていた巨大な大蛇(ヤマタノヲロチ)を、酒で酔わせて退治をした”という、古事記に出て来る神話に基づいた琵琶語りです。
そして講座の最後はお楽しみの楽器体験のお時間。
様々な雅楽の楽器を皆さまに体験していただきます。
受講生の方々に続き、私も楽琵琶を体験させていただきました。
本来はあぐらで構えますが、着物でしたので横座りでの演奏に。
楽琵琶の重さは想像よりも軽く、バチも握りやすく、しかも軽やかで驚きました。
ですが柱は小さく、弦を押さえるのがとても難しいのです!
左手の指がつりそうで(汗)。
いやはや楽琵琶は難しいです。
しかし、その音色は想像以上に素晴らしく、静かで心に触れるような響きでした。
ひとりで春の雨音を聞きながら、あるいは夜空の月を見上げながら、ゆったりと奏でることができたなら、どれほど心満たされることでしょう。
また、松久さんにも薩摩琵琶を体験していただきました。お楽しみいただけたようで何よりでした。
やはりただ聞くだけではなく、実際に楽器に触れてみてこそ見える景色がある――
そう強く思います。
琵琶の絃の響きによって心に情景が浮かび、そして想いが湧き上がる。
心が非日常の響きに触れ”じわっ”と静かな喜びが広がる。そんなひと時。
得難い経験でした。
このような貴重な機会を頂戴しましたこと、心より感謝申し上げます。
手力雄神社では、雅楽の講習を定期的に開催されています。
ご興味のある方は、ぜひ足をお運びください。
楽琵琶、素晴らしいですよ!
「手力雄神社」


